はじめてのSkype面接

別にまだ通ったわけではなかったが、ずっと相手にされてこなかったので
返事がもらえたのは実にうれしかった。返事をもらえるようになった時は
もう12月の年末で、忘年会等でいろいろな方から「次のポジションは?」と
聞かれて「いやーまだ」と答えるのがつらかった。
Skypeはインターネットを介した電話のようなもので、これによって
世界中の人たちと無料でビデオ通話ができる。つまり面接試験にこぎつけた
のである。この時までSkypeはほとんどやったことがなかったが、急いで
Webカメラを近くのヤマダ電機で購入し、うまくいくか何度も調整をした。
年が明けてから1週間後くらいに返事をくれたひとりのProfessorと
Skypeの面接をした。もちろん英語での面接はこれが生まれてはじめて。
時差が14時間もあったため、私は早朝にラボにいき、誰もいない部屋で
ノートPCを起動し、時間までPCの前で待機していた。時間になると
相手側からチャットで「はじめようか」と応答があり、Skypeの画面に
Professorの顔が映るとより一層緊張した。
面接はまずは簡単な世間話から始まった。
「そっちは朝かい?」
「見えるかこれがうちのOfficeだよ。」
とか。しかししだいになぜこの研究室に興味を持ったのかとか
将来の目標などだんだん重要な内容に進んでいくと、相手の英語が
うまく聞き取れず、何度も”I beg your pardon?”と何度も聞きなおし
変な空気になることもしばしばだった。最後に「何か質問ある?」と聞かれ、
私は「何もありません。」と答えて終わってしまった。
うまくコミュニケーションもできなければ、聞きたかった質問もできなかった。
ただこの経験で、どんなことを面接で聞かれるのかとかわかったし、
相手側にする質問をあらかじめメモして、その場で言えるように
準備するようにした。以下がその時自分で作った面接対策マニュアルの
一部を抜粋したものである。

  1. これまでの研究内容(君の論文読んだから、説明してくれ、君がやってきた研究はPIのアイデア?それとも自分のアイデア?)
  2. 将来のプラン(ポスドクを終えた後は?)
  3. なぜこのラボを選んだの?
  4. Wet実験もしたい?(私がcomputer biologistだったので)
  5. 他のラボにもapplyしている?
  6. このラボに対するリクエストや質問?
  7. 家族は?独身?(ビザの関係もあるので)
  8. 共同研究者はいる?
  9. 尊敬する科学者は?
  10. いつ卒業するの?またいつからポスドクを始めたいの?
  11. 一通り質問が終わると、相手先の研究内容について説明を受ける。
  12. こっちの天候は○○℃くらいだけど、こっちでの生活は大丈夫?
  13. 推薦書を書いた○○先生との関係は?○○先生とどういう研究をしてきたの?
  14. 研究プラン(このラボで何がしたいの?)

最初の面接から数日後、この面接マニュアルをPCの横に置き、返信をくれた
もうひとりのYale大学のProfessorとの面接に挑んだ。ちなみにこの
Professorが今のボスである。今度は深夜に面接を行った。Skypeがつながると
なぜか数秒間沈黙が流れた。これはまずいと思い、私は自分から
「今日は面接をしてくれてありがとう」と挨拶をし、なぜこのProfessorの
ラボに行きたいか自分から話しはじめた。すると相手側から
「わかった。じゃあ今度は私からいくつか質問するよ。」
と言われ面接が始まった。
この時聞かれた内容は最初の面接とほぼ似たような感じで、
用意したマニュアルが大変役に立った。また、このProfessorの英語は
比較的聞き取りやすく、面接もスムーズに進んだ。特によかったのが、
私がこういう研究をやりたいというと、
「うちにはこういう技術があるから、それを使うとうまくいくよ。」
という研究のやりとりや
「君の将来の夢をかなえるにはうちでこういうことをやっていくのがいい。」
という自分のcareerに関する話など具体的な話ができたことである。
最後に「結果はいつ頃知らせればいい?」と聞かれ、
本当は早い方がよかったのだが、「今月中(一月中)まで」ととっさに答え、
面接が終了した。