eQTL解析


eQTLとはexpression Quantitative Trait Locusの略のことで
遺伝子発現に影響を及ぼすとされるゲノム上の位置(または領域)
を示す。近年次世代シーケンサやマイクロアレイの発展により
大量の発現データや配列データが得られるようになってきて、
医学や遺伝学において大きな注目をあびているtopicのひとつである。
(この前参加したISMB学会でも多くの研究者がeQTL研究を報告していた。)
QTLとは日本語で量的形質遺伝子座といい、身長や体重といった
量的形質にかかわる遺伝子座のことをさす。QTLは必ずしも転写領域
にあるというわけではなく、遺伝子間領域のSNPsやmicrosatellite
などのマーカーも含む。一方、eQTLとは遺伝子の発現量を量的形質と
見なしたときのQTLである。よってeQTL解析では「DNA配列多型は
遺伝子発現の多様性に影響を与える。」という仮定の下で行われる。
eQTL解析の方法としては図にあげたように、
複数のstrainについて各locus(eQTLの候補)のgenotype情報と
同じstrainから得た遺伝子発現情報(microarrayなど)を
組み合わせ、significantなlocus-遺伝子関連を探し出すといった
方法が考えられる。実例をあげれば複数のマラリア原虫strainの
マイクロサテライトのgenotype情報とmicroarrayによる遺伝子発現情報
を組み合わせ、特定の遺伝子活性or抑制にかかわるマイクロサテライト
マーカーを同定するといった解析がある。
このようにしてeQTLを同定していくことで遺伝子の異常発現等に
影響を与える遺伝子座の同定にもつながり、医学・薬学等にも
重要な研究になりうる可能性を秘めていると考えられる。