はじめてのアメリカ研究室

アメリカについてから最初の月曜日。私は大学の事務と研究室を訪れた。
他の大学にもあるのだろうが、Yale大学にはOISS(Office of International Students and Scholars)という外国人学生・研究者用のオフィスがあり、
まずそこに行ってアメリカで必要な手続きや携帯・銀行口座の作り方、
ビザとDS-2019(アメリカ滞在許可期限が記入された書類)の諸注意、
大学のシャトルバス、New Havenの治安についてなどについて説明を受けた。
日頃から英語になれない留学生を相手にしているからであろうか、
説明してくれた方の英語はけっこうわかりやすかった。
次に私は学科(研究科?)のオフィスに向かった。ここでは
税金や給与に重要な書類、大学の建物に入るのに必要なIDカードの発行準備を
してもらった。IDカードについては仕事初めの9月1日より前に
来てしまったため、「カードはまだ作れない」と言われてしまった。
結局、警備員からvisitor用の仮カードを渡され、それで建物の中に入った。
ちなみに多くのYale大学の建物にはセキュリティのためかIDカードがないと
入ることができない。
そして仮カードのまま私は新しく所属する研究室へと向かった。


(1枚目:奥の建物が研究室のあるビルで、手前の公園から撮影)
(2枚目:ラボの目の前にある公園、夏場はここでランチをとる人もいる)
いよいよだという期待とうまくやっていけるだろうかという不安が
五分五分な気持ちで向かった。建物に入り、ラボのあるフロアにつくと、
すぐ横の掲示板に、そのフロアのラボの説明とメンバーの写真が並んであった。
私のボスとそのメンバーの写真も確かにそこにあった。
ラボに向かうと、先ほど写真に写っていたラボメンバーの人とあった。
そこで自己紹介をすると、
「おーあなたか、いらっしゃい。ここが私たちの研究室だよ。」
とラボに案内してもらった。他のラボメンバーも呼んでくれて、
自己紹介をした。ちょうど私が訪れた時は、ボスは海外出張でいなかったが、
その他のメンバーとは全員話すことができた。私を除くとポスドクが一人、Visitoring researcherが二人、学生一人という小さな研究室であった。
ただこのフロアのラボはどこも3−5人程度の小さな研究室が多く、逆に
小さいからこそボスやメンバーとの密なコミュニケーションがとれて
いい点もある気がした。またこのフロアは中央に大きな実験室があり、
その端に各PIのオフィスとセミナー室があるという構造であった。
中央の実験室は各ラボで共有して使っていて、別のラボの人が自由に
行き来できるようになっている。見ていると、別のラボの人がよく訪れて
一緒に何か話をしているのをよく見る。
ラボ間の変な隔たりもなく、このような環境がラボ間の頻繁な実験機器の
貸し借りを生むのであろうか?何はともあれ、憧れていたアメリカのラボに
いるという実感がわいてきた。またさきほど案内してくれたメンバーが、
「このフロアには日本人が二人いるよ」と教えてくれ、私を紹介してくれた。
なにせ今の職は自分で探したこともあり、このYale大学には知り合いなど
ひとりもいなかった。なので同じフロアで日本人と会えたのは、大変
うれしかった。この時アメリカに来て初めて日本語の会話をした。
キャンパス周辺の治安やYale大学の情報などを教えてもらった。
私が訪れたこの日はちょうどラボでJournal Clubがあるとのことだったので
それに参加した。日本にいるときは、専門はbioinformaticsであったが、
こちらに来てからはStem cellの研究室になったため、わからないことが
たくさんあってあまり質問もできなかった。もちろんここに来る前に
いくらか関連論文を読んできてはいたが、前提となる知識が不足しているので
あろうか、なかなかうまく理解できなかった。
ひとまずわからなかったキーワードをノートにメモしておき、
後でネットで調べた。。。なにはともあれ、この日から私のアメリカでの
研究室ライフがスタートしたのであった。